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January 02, 2006

いきなり波乱万丈の年明け

今回のスリーデイ・ツアーは、きつかったぞぉ。こんなツライのは、きっとこれからもない。


 まず、ブッキング自体が変則的。8名の満員なのだが、そのうち2名は初日は漕がずに夕食からキャンプ場で合流。なんでも飛行機のフライトの都合で朝の集合に間に合わないからそういうことになるらしいのだが、そういう場合は翌日からのツーデイ・ツアーに参加するのが当たり前で、そうしないでこういう無理なブッキングをゴリ押ししてくるところからして、非常にイヤな予感。

 アワロア・ラグーンで、機嫌よく昼食をとってから再度漕ぎ出したら、ショーンのウォータータクシーが近づいてきて「彼らがあとから合流する二人だ」と紹介してくれた。が、二人ともにこりともせず、特に女性の方はこちらに恨みがあるかのような顔で睨みつけていて、イヤな予感がずばり的中したことが分かり、まともに顔を合わせる前から憂鬱に。

 6名と機嫌よくトンガ・クォリに到着し、テントを設営して遊んでいたら、例の二人が17時半になって到着。米国人の若いカップル。いかにも札ビラで他人の頬っぺたを叩きつつ世渡りしているようなタイプの連中。あとから他の人たちに聞いたところ、マスコミだと。やっぱしな。
 テントを渡したが、サイトを自分で決められないし、テントもたてられない。手伝ってやったが、結局「手伝う」のではなく、僕が「全部一人でたてる」ことになった。連中にしてみれば、「テントは、奴隷たるガイドが一人でたてるものであって、自分たちはその間ビーチで泳いでいれば良い」というシロモノらしい。ヤレヤレ。

 その後すぐに食事を作り始め、他の6人は手伝ってくれたが、例のカップルは涼しい顔で海水浴。「手伝わなきゃいけないなんて、パンフレットに書いてなったから、知らなかった」だと。料理しなかったので皿洗いぐらいしろというと、驚愕した顔。しぶしぶ始めたのは良いが、持っていっていた洗剤のほとんどをいきなり搾り出してしまい、結局残りのツアー中洗剤が足りないことになった。皿洗いも出来ないとは。しかもねぇ、あの洗剤はむちゃくちゃ濃縮してある業務用だから、2、3ccで足りるんよ。100cc近く使ったから、完全に自然を汚染したのは間違いない。何しに来てるんだ、ったく……。

 あとから聞いたら、うちの会社にマネージャーにも「キャンプ地にワインを届けろ」と指示していたらしい。「正月だぞ、ワインぐらいいるに決まってるだろ」と。そんな要求、前代未聞だわ……。どこまでわがまま言えば気がすむんだろ。米国人の金持ち中年にはよくいるタイプだが、二十代(おそらく)にしてあの態度ってのは、もう救いようがない。

翌朝、まぁ予想できたことだけど、例のカップルから眠れなかったとクレーム。パンフに明記してあるサーマレストじゃなくて、リッジレストを渡したことに難癖をつけてくる。サーマレストとリッジレスト、ほとんど寝心地は違わないことなど、まぁ知らんよなぁ、テントをたてられなくて、しかも砂地の上にテントをたててやったのに「硬くて眠れなかった」などとほざく軟弱野郎には。
 連中の言い分を聞きロッジの手配。大晦日だというのに奇跡的に一つ部屋が空いていて、彼らは一泊一人$340なりの超高額なスィートに泊まることに。どうぞご自由に。

 もちろんカヤッキングやらせても、そんな連中がまともに漕げるはずはなく、他の6名にかなりペースを落としてもらっても、どうしても彼らは遅れる。漕ぎ方を教えろというからコツを教えてやったら、とたんにスピードを出して先頭にでる。そんなことしたら余計バテるのに、バカだなと思ってたらあんな上10分後にグロッキー、小学生かよ。先頭に出ないで力をセーヴしてグループに着いていくだけにすれば、楽々残りの行程を漕ぎきれるのに。

 アンカレッジにいったん全員で上陸して荷解きし、キャンプ場を確保した後、また全員でトレント・ベイへ。連中のカヤックをロッジに運んで、他の6名とクレオパトラズ・プールへ。もちろん連中も誘ったが、「冷たい川の水」だと聞いてパス(笑)
 他の6名の中には、米国人の還暦ご夫婦もいらっしゃったのだが、彼らもウォータースライダーを歓声を上げつつ堪能。米国は広い。こういう方たちもいらっしゃるかと思えば、連中のようなのもいやがる(笑)

 連中がいなくなったとたん、米国人老カップルとキウィカップルが、連中の話で盛り上がり始める。まぁお客様たちにとっても、目に余る連中だったから、仕方ないやね。米国人老紳士は「彼らは明日は漕がないね」と良い、「いや、漕ぐでしょう」というキウィの男の子と$10の賭け。
 結局翌日、彼らは漕がず、見事米国人老紳士がお年玉を手にした。

で、連中がいなくなったので一安心と思ったら、さにあらず。むしろ本番はここから。

 アンカレッジという名の通り、年末年始には豪華クルーザーやらヨットやらがウジャウジャと停泊する場所なのだが、その中のとある超豪華クルーザーが、酔っ払ってカウントダウン花火を湾からあげた。これがホントの花火なら問題ないのだが、ロケットフレア(発火筒)で、しかも森に向けて撃ったからさぁ大変。ほとんど確信犯的な放火だわね。
 すぐに森から発火。ハット(山小屋)、キャンプ場、およびカヌカ・ヒル・ロッジの客が夜中1時前に全員たたき起こされてビーチに避難。
 僕もまず着の身着のまま避難したあと、キャンプ場に火が回るまではまだしばらく時間があることを確認し、数名を連れてキャンプ場に戻ってシュラフや水、食料などの避難道具および、爆発してもらいたくないLPGガスボンベを持って再度避難。
 そのうち風向きが変わってきたので、ビーチをてくてく歩いて別の場所へ。さらにしばらくして再度また別の場所へ。荷物が重いの何の。
 最終的にまたキャンプ場に一人で引き返して、全員のサーマレストを救出し、砂浜で夜明かし。ずっとマリンVHFラジオのCH16&78をモニターしていたので、僕は2、3時間しか寝てないぞ。

 愛する国立公園の森を紅蓮の炎がなめ、無数の火の粉が蛍のように空に舞い上がるさまをなす術もなく眺めていると、我が身が焼かれているような悔しさと哀しさを覚えた。

連中はトレント・ベイに泊まってラッキーだったねぇ。さぞかしゆっくり眠れたことだろう。いや、一緒でなくてホントに助かった。ビーチで夜明かしなんていったら、どれだけ文句をいったことやら(笑)
 残った我が精鋭グループ、起きだしてきたときこそ疲れて漕ぐ気のない人もいたが、豪華な朝食(残念ながらオトソにゾーニにオセチというわけにはいかないが、)を食べると元気になり、結局全員機嫌よくマラハウまで漕いで帰った。よくやった!

っつぅわけで、とんでもないお客様と火事、ダブルパンチに見舞われた年越しツアーであったのだった。あぁ、シンド。

 ちなみに本日は、暴風警報。レンタル・インストラクタ担当として出勤したが、キャンセル続出したので、ディーンとボブにあとをまかせ、疲労困憊している僕は早々と帰ってきた。なんせ、夜中に重い荷物を持って相当な距離砂浜を移動しまくったので、箸もまともにもてないくらい全身の筋肉がやられてるし、疲労もただごとではない。

 明日も同じような天候。キャンセルになるのかな? また今週金曜から同じスリーデイ・ツアーが入ってるので、本音を言えば明日も休みたいなぁ。正月三が日なんだし。

ともかく、これで僕の今年の「厄落とし」は完了したはずで、平穏無事な年になるんじゃないかなぁ?(笑)

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1. Weather & Kayaking Log on 01-01-06  [ Ryu's Logbook ニュージーランド在住シーカヤックガイドのlogbook(=航海日誌) ]   January 02, 2006 10:57
■【FORECAST】 [LAND] (Motueka) Friday High cloud. Northerlies. 23°C 18°C Saturday Becoming fine during morning. Southwesterlies. 29°C 11°C Cloud increasing, rain later. Westerlies. 温度不明 [MARINE] (Abel)  North of Separation Point: Northwest...
2. Weather & Kayaking Log on 08-01-06  [ Ryu's Logbook ニュージーランド在住シーカヤックガイドのlogbook(=航海日誌) ]   January 08, 2006 14:51
■【FORECAST】 [LAND] (Motueka) Friday Fine. Gusty westerlies. 21°C 10°C Saturday Fine. Westerly winds. 20°C 8°C Mainly fine, possible morning shower. Southwesters. 19°C 12°C [MARINE] (Abel)  Southwest 10 knots but westerly 20 knots north of ...
3. 初めの一歩  [ Ryu's Logbook 別冊 ]   December 30, 2006 15:27
■ジジョ、ついに一歩目を踏み出した。  もちろん、つたい歩きは自由自在。もう一ヶ月もすれば、きっとバリバリ歩いてるんだろうなぁ。

この記事へのコメント

1. Posted by MM   January 02, 2006 11:24
新年早々お疲れ様でした。
きっと厄は「完全に」落ちたと思いますので(読者であるこちらも落ちていない訳がないと思いたい)、今年はもうこれで怖いものなしのはず、ついでに宝くじでもドドーンと買ってしまいましょう(笑)。
2. Posted by Ryu   January 02, 2006 11:30
ありがとございます。
色々経験したつもりでしたけど、まだまだ前代未聞の事件は起きますね。

火事も過去にありましたし、ややこしいお客さんってのもときどきいらっしゃるんで、単に組み合わせの問題という気もしますが、しかし焼け出されて被災生活をしたってのは、初めてでした。
ま、震災や台風などでホントに被災生活を強いられた方とは大違いで、こちらはキャンプ中の話ですから、テントがあるかどうかの違いでしかないんですけど(笑)

お気の毒なのは、消防士さんたちでした。
正月早々真夜中に、山道もないようなところにホース持って突入ですもん。
しかも、あの部分は急だ。
彼らの消火活動の怒声、ずっと僕らのいるところまでとどいてました……。
3. Posted by MM   January 02, 2006 15:28
Google Newsで検索したのですが、意外なことに引っかからなかったこのニュース。
やっと見つけたのがこちらでした↓
http://www.stuff.co.nz/stuff/0,2106,3528401a11,00.html
検索中に、NZで他にもフレアがらみの火事の話がポチポチと見つかったことの方が驚き立ったかも知れません。あと、このアンカレッジの事件ニュース内にある様に他の船舶もフレアで「お祝い」していたこと。まさかスペアでなくて義務付けられている方の「本物」を使って馬鹿騒ぎを、だったのかもしれないと思うと・・・
4. Posted by Ryu   January 02, 2006 18:24
検索ありがとうございます。

実はね、ここに書きませんでしたが、三日目の朝アンカレッジから漕ぎ出してすぐ、水面に浮かべて使う方式のスモークフレアの残骸が岩場に浮いてるのも見つけました。
明らかに、カウントダウン時にいたずらでフレアを使った人間が他にもいますね。

正直、腹が立って仕方がないですよ。
当日避難させられ、ビーチでビバークを余儀なくさせられた人間集めて、損害賠償請求してやろうかと思うくらい。

ったく……。

5. Posted by kanamong   January 02, 2006 21:54
いやーー。漫画に出てくるダメなアメリカ人がそのまま!アメリカ生活もう7年目ですが、まだこんなステレオタイプに出会っていません。ある意味ラッキーかも。しかし山火事はむかつくね。
6. Posted by しんのじ   January 03, 2006 00:14
Ryuさん、ホントにお疲れさまでした。

結局、わからん連中には何言ってもわからん、ということなのだろうけど、お客となれば絶対に拒否できないという憂鬱さ、お察しします。

そんなお客を相手するプロガイドの懐の深さに、感動するやら、同情するやら・・・。
7. Posted by ぽづきち   January 03, 2006 01:01
しかしRyuさん、オトナだね。ボクならそのアメリカ人絶対怒鳴りつけるんだけど。

で発火筒って、もともと何に使うのら?
8. Posted by Ryu   January 03, 2006 10:52
>kanamong
住んでると似たタイプの人との付き合いが多くなって、こういうのと遭遇する機会あまりないかもしれないけど、米国以外の国でツーリズム業者やってると、こういうタイプはまったく珍しくないというか、むしろ僕らの場合、米国人客というと、まずこういうタイプを想定するくらいポピュラー。
だから、全然ラッキーじゃないよ。
よくいるの。
ホンット、よくいるの。

>しんのじさん
ありがとございます。
ただ、絶対に拒否できないわけじゃないんですよ。
他のお客様の迷惑になることと、安全に関わることは、拒否もしますし、ぽづきちさんのおっしゃるように怒鳴りつけることもあります。
連中にも、他のお客様への迷惑については、厳重注意しました。
怒鳴りませんでしたけど。
9. Posted by Ryu   January 03, 2006 10:53
>ぽづきちさん
後輩に「さん付け」は止めてください、緊張します(^^;

発火筒って、ホントはFlare、日本語だと信号紅炎っていって、むしろ発炎筒と書いたほうがいいかもしれませんね。
救難信号を出すためのものです。
自動車にのってる発煙筒も、フレアの一種です。
いろんなのがあって、映画でよく見る打ち上げ式のがロケット・フレア。
今回の火事の原因になったのはコイツです。
僕らが仕事のときに持つのは、ハンドヘルド式。
海面に浮かべる方式もあります。
すべて、SOS用です。
新年カウントダウン用ではありません。
10. Posted by Ryu   January 03, 2006 10:57
そういえば、フレアについて昔どこかに書いたなと思って探してみると、こんなのが見つかりました(笑)

http://www.onjix.com/paddle/outdoor/seakayak/seakayak07.html#flare

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H. Ryu Takahashi
オリジナルの『Ryu's Logbook』を、純粋な「航海日誌」にして、2005年7月以降は雑文をこっちに移しました。
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