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September 19, 2006

再考「プロ論」

昔こんなコンテンツを書いたことがある。

 ◎オリジナル版「《 自由テーマ 》 プロ論。」(2004年12月6日)

 コメント欄でHokulea2006さん(懐かしいHNだ!)からもご指摘があったが、自分自身もこの小論の中で使った「プロ意識」と「職人意識」という言葉には、いまひとつしっくり来ないモノを感じていた。
 なんせ「プロ意識」というものを二つに分類して、「プロ意識」と「職人意識」に分けてるわけだから、わかりにくいことこの上ない。

 ただ論旨そのものに関しては、いまでも特に意見はかわっていない。「『職人意識』と対比させるのに、もっと良い言葉はなかったかなぁ?」っていうだけの話で。

で、一年半以上たって読み返してみると、なぁ〜んだ、良い言葉あるじゃん。っつぅか、文中でも使ってるじゃん!


 「ホスピタリティ意識」と「職人意識」。
 これだ! すごくすっきりする。
 
 つまり「プロ意識=職業意識」を二つに分けると、「ホスピタリティ意識」と「職人意識」に分類できる、と。
 で、日本人の場合はどちらかというと「職人意識過剰型」が多く、キウィの場合は「ホスピタリティ意識偏重型」が多い、と。

 いやぁ、スッキリした。

あともう一点フォローしておく必要があるようだ。
 最後の方に、こんなことを書いている。
 どっちが良いかと問われれば、実は僕自身はどっちも失格だと思っている。
  僕は、「職人意識」と「プロ意識」の二つが、プロフェッショナルにとっての「両輪」だと考えている。両者のバランスが崩れていると、プロとして真っ直ぐに走れない。

 この文中の「プロ意識」も、上記のように「ホスピタリティ意識」と読み替えていただきたいのだけど、読み替えたあとでもこの文は必ずしも真ではないと訂正しておきたい。
 
 たとえば 自らはほとんどクライアントの前に立たない一次産業や二次産業の場合、「ホスピタリティ意識」が彼らのプロ意識に必要かどうかは疑問だ。

 また三次産業の場合も、物を売る商売の場合、極端な話売り物に「職人意識」が込められているのがありありと分かる商品ならば、それだけで成り立ってしまう場合もあるのは事実だ。客を怒鳴りつけるラーメン屋が流行ったりするのも、まさにこれの好例(ラーメン屋を「物販業」というのは無理があるのは承知だが、ここでの論旨にそっていえば広い意味で「物を売っている商売」といえる)。

 つまり「ホスピタリティ意識」と「職人意識」をバランスよく両輪として使いこなさなくてはならない業種は、要するに一切物を売らない純粋なサーヴィス業ということになってくるんだろうと思う。
 僕のようなツーリズム業界なんてのは、まさにそういう業種だぁね。

ところでこんなコンテンツみつけた。

 ◎IT業界のマーケティングを問う「職人(プロフェッショナル)の本質」

 ここでは「職人」という言葉に「プロフェッショナル」とルビをふってある。
 前段で書いたように、料理人は「料理」というモノを提供する商売ゆえに、極端にはホスピタリティ意識抜きで、職人気質一本で勝負することも不可能ではない業種。
 よって料理の世界に限っていえば「職人」に「プロ」というルビをふることも許されると思う。
 
 が、どうやら筆者氏は料理に限定した話をしていらっしゃるわけではない様子。
 そういう場合に、「職人」に「プロフェッショナル」というルビをふるのは、どうかなぁと思った次第。
 なんせ僕はオリジナル版の「プロ論」で論じた通り、「職人意識」はプロに限って持っているものではなく、むしろハイ・アマチュアと呼ばれる人の方がプロなんかよりも、はるかにこだわりの強い職人意識を持っていることも少なくない、という考えだから。
 プロの職人意識は、コストや時間の縛りの中でいかに上質なモノを目指すかというバランス感覚を要求され、ハイ・アマチュアの場合はその辺の制約がない、という違いがあるだけだろう。

 ま、文中に「この言葉こそ、職人としてのプロフェッショナルの一つの本質を表しているのではないかと思います」と限定した表現があるので、可といえば可という気もするが、でも「職人意識は、プロ特有のものではない」を持論としている僕としては、やっぱり違和感が残る。

 ただ、「職人としてのプロフェッショナル」に限定して話をすれば、僕もこのコンテンツ内で取り上げられている「同じ仕事の繰り返しの中にも創造性はある」という言葉、素敵な名言だと思う。
 僕のプロ意識の中の「職人的な部分」に、よく言い聞かせておきたい言葉だ。

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気象とカヤッキングのログは、オリジナル版『Ryu's Logbook』でご覧下さい。

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1. Michael Angeloとやら  [ Ryu's Logbook 別冊 ]   September 29, 2006 14:58
■初めてイングヴェイ・マルムスティーンを聴いたときは、思わず大爆笑した。  あれから20年以上、昨日ネット上でマイケル・アンジェロとかいうギタリストへの絶賛を目にした。  そういえば、もう長いこと「いまどきの超絶技巧」を目にしていない。どれ、最近のスー....
2. イチロー選手と中田選手  [ Ryu's Logbook 別冊 ]   October 22, 2006 14:36
■おもしろい切り口の記事。  ◎All About「イチローは何人に一人の天才か?」  最終的に出てきた数字の信憑性のほどはともかく、なかなかおもしろい試算だと思った。 ■ところで、もっとおもしろいと思ったのは、実はここからリンクされてたこちらの記事。

この記事へのコメント

1. Posted by 元hokulea2006のかとう   September 19, 2006 17:45
「職人意識」を一言で表す英単語で実は無いような。artisanshipやcraftsmanshipはむしろ職人が身につけている高度な技芸を指しますからね。非常に面白いことに、craftsman's spiritというような文字列で検索すると、上に来るのは軒並みjpドメインの英語ページだったりもします。

よほどモノツクリ魂に拘りがあるのでしょうねえ、日本語話者は。
2. Posted by Ryu   September 19, 2006 17:49
「モノを作る技術」よりも「モノを作る事へのこだわり」を重視するのは、日本文化独特のものかもしれません、おっしゃるとおり。

良いことだと思います。
大事にするべきだと思います。

でも、世界の中では特殊な価値観だということもあわせて知っておくべきだとも思います>職人気質の日本人プロ諸氏
3. Posted by Ryu   September 19, 2006 17:50
ちなみにHN、「元々hokulea2006、元waka moanaのかとう」となさっては?(笑)
4. Posted by かとう   September 19, 2006 17:54
長すぎるので「元々かとう」にします。
5. Posted by 元々かとう   September 19, 2006 18:05
それでRyuさんご指摘の「世界の中では特殊な価値観」という所ですが、まあ私はあまり他国人がモノを作っている所を観察していないので断言は出来ないのですけれども、日本語話者の職人に妙に目立つこだわりとして「見えない(そして機能に影響を与えない)ところまでも異常に拘る」という独特の心性を感じることがありますね。

世界を見渡すと、まあどこの文化圏でも超絶技巧を駆使した物作りは存在していると思うのですが、機能に無関係なところでそういうコストを追究する場合、多くは「見せびらかし」に走っているのではないか。パガニーニですよ。無駄に指が動く人。ゴンサロ・ルバルカバとか。「俺って凄いだろ」の世界ですね。
6. Posted by Moto Moto かとう   September 19, 2006 18:08
すなわち、モノ造りが高品質を追究していってある一線(コストに見合わない・機能上意味がない)を越えて行く場合、日本語話者はひたすら自己の満足を追い求める人が多い一方、世界的には「技の見せびらかし」に走るタイプが大手なのではないかと(笑)
7. Posted by Ryu   September 20, 2006 06:41
僕も「世界は」なんていうほど各国のサンプルを持ってるわけじゃないんですけど、おっしゃるとおりのこと感じます。

ピクサー映画のメイキングオヴを観てると、「『タンスの裏まで磨け』がピクサーの合い言葉だ」みたいなことを言ってたりしますが、あれは日本文化の影響が強い気もします。

面白いっすね。
8. Posted by みや   October 22, 2006 19:36
お久しぶりです。

既出かもしれませんが、こんなカルキュラムの大学があるんですね〜。

松本大学総合経営学部環境ホスピタリティ学科
http://www.matsusho-h.ed.jp/matsumoto_u/tourism_hospitality/index.html
9. Posted by Ryu   October 23, 2006 03:22
学科名にホスピタリティをうたった大学があるのは存じませんでしたけど、研究室レヴェルでこういうのをやり始めてるところは、かなり多くなってきているようですね。

ただ、どうなんでしょう、学校で教えるレヴェルまでカリキュラムができてるジャンルだとは思えないんですよねぇ。
大学院で「研究」するというならまだわかるんですが、学部で「教える」ってのは、どうかなぁ、ってな感じで。

でも、この大学はロケーション的にもちょっと興味ありますね。
いつもおもしろい情報ありがとうございます。

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H. Ryu Takahashi
オリジナルの『Ryu's Logbook』を、純粋な「航海日誌」にして、2005年7月以降は雑文をこっちに移しました。
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